Lenovo社はコンピューター製造・販売の最大手メーカーのひとつとして、世界中で親しまれています。今回、そのアメリカでの年次記念パーティーにて、Taro’s Origami Studioが記念品の製作を手掛けました。シニア・アーティストのFrankとBenによるレポートです。
今回の記念品は「イベントが終わっても持っていたくなるもの」、そして「形が変化するもの」というテーマでご依頼をいただきました。企画から実際の製作まで5ヶ月をかけたプロジェクトの過程をご覧ください。
1. ブレインストーミング
Lenovo社からの依頼を受けて、まずは参考となる作品例を探しました。インタラクティブ(※手にした人が能動的に形を変えることができる)でエキサイティングな折り紙モデルを探し、その中から担当者との相談の上、こちらの4例をピックアップしました。
1つ目はモジュラー折り紙の花火です。これは12個の独立したユニットを組み合わせた作品で、ひねったり引っくり返したりして遊ぶことができ、さまざまな表情を楽しめます。
2つ目は折り紙のパズル・ボックスです。折り紙でできた7種のブロックは立体パズルになっており、3×3の立方体になります。
3つ目はLenovoの担当者からの提案で、球体のモジュラー折り紙です。写真はEkaterina Lukashevaの作品で、折り紙を安定的に組み合わせながら美しいトゲを形成している素晴らしい作品です。
4つ目はDavid Brillによる、形の変化する箱のモデルです。この作品は8つの折り紙ブロックを組み合わせ、積み木や立体パズルのように遊べる作品となっています。
クライアントのご希望を伺って、4つ目のブロック・キューブを採用することになりました。Taro’s Origami Studioチームはさっそく、このアイディアを踏まえた新しい作品の製作を始めました。
2.テスト
このステップではまず、Taro’sのアーティスト・Frankが参考作品の写真を分析し、構造を調べました。まもなくFrankはペーパークラフトでこの作品を完全再現することに成功しました。参考作品を踏まえて、Frankはまず縦横比1:2のブロックを作りましたが、今回コラボレーションするレノボ・ブランドのロゴは、縦横比が1:3となっています。この縦横比はブランドのアイデンティティとして重要であり、今回の記念品でも美しく表現する必要がありました。ですからこの縦横比1:3を踏まえて、Frankはすべてのパーツのバランスを調整し、その過程でTaro’sのマシン・スコアリング・ツールを駆使して量産に最適な製作方法を見つけ出しました。
3.より洗練された作品へ
作品の基本形が決まり試作品ができあがりました。次にこの試作品をLenovo社の担当者に送って実際に遊んでもらい、改良点のフィードバックをいただきます。まず接合部の強度を高めるためにデザインの細部を変更しました。次にTaro’sのBenとFrankが、各面に異なるパターンを印刷し遊び心を加えました。これらのパターンは、Lenovo社のこれまでのブランディングに使われている、ニューラルネットワークのイメージに基づいています。
4. 組み立て
最終的な納品に向けて、記念品をおしゃれに見せるための箱とホルダーを発注しました。箱はマグネットで開け閉めできる特注のものです。その間、Benが作品の組み立てを行い、Frankが作品を載せる三角形の台の製作を行いました。この特製の台に載せることで、作品は箱の中ではひとつの直方体に見え、箱から出して開くとLenovoのロゴが現れます。クライアントの要望通りに表現することができました。
ここからさらに数回、打ち合わせと改良を加え、すべてが最終決定され、ゲストに配布する完成作品の組み立て作業を行いました。全部で160個以上のブロックを製作して組み合わせ、20個のキューブを完成させました。約3週間で完成させることができました。
こちらが完成作品です!