展示イベントの概要

2024年4月22日から29日まで、京都の新風館にて特別ポップアップ展示「ORIGAMI FOREST」が開催されました。
このイベントは、世界的な刃物メーカーである貝印株式会社と、デザインホテルの象徴として知られるエースホテル京都がコラボレーションし、折り紙アーティストのタローヤグチ氏がそのコンセプトに沿った折り紙作品を提供するという形で実現しました。テーマは「紙の生命力と持続可能な未来」。今回のイベント用に特別にデザインされた「オリジナル紙カミソリ」と共に、絶滅危惧種を中心としたタローヤグチ氏の折り紙作品を展示することで、紙という素材が持つ可能性を来場者に伝えました。

今回のポップアップイベントは、貝印株式会社が掲げる「サステナビリティ」と「クラフトマンシップ」をテーマにした取り組みの一環です。エースホテル京都とのコラボレーションにより、紙を通じたアートと実用品が交差する、全く新しい体験が提供されました。新風館という京都の歴史的な建物を背景に、折り紙の可能性がいっそう引き立ちました。

準備の裏側とライフサイズ折り紙の挑戦

今回の「ORIGAMI FOREST」展示では、すべての折り紙作品がライフサイズ(実物大)で制作されました。これは通常の折り紙と比べて非常に難易度が高い作業であり、特に自重で形を保つためには、特殊な技術と経験が必要です。

今回、タローヤグチ氏は、折り紙制作の豊富な経験を生かし、特殊な紙素材を選びました。これにより、展示期間中の10日間、折り紙が自立し続けることができました。これまでにも、彼はフィラデルフィア空港にて1年以上も展示される大型折り紙作品を手掛けた実績があります。今回の展示でも、その経験が発揮されました。

試作から完成まで

まず、設計段階では、通常サイズの折り紙を使って小型モデルを作成しました。折り紙作品の色も様々なものが検討されましたが、最終的に自然に優しいアースカラーですべての作品の色が統一されると共に、折り紙の両面、すなわち色面と白面を生かす形で、より折り紙らしい作品にすることにしました。このようにまずは小さな紙で試作し、これにより、完成後の大きさとの縮尺比を正確に計算し、実際の作品を折るために必要な紙の大きさを決定しました。次に、実際にライフサイズの試作品を制作し、紙の強度や形状保持能力を確認しながら本番の制作に取り組みました。

大型の折り紙は、特に重量やバランスを考慮しなければならないため、タローヤグチ氏は、スタジオで何度も試行錯誤を繰り返しました。それで最終的には、自立し、美しい形を保つことができる作品を完成することができたのです。